成人の嚥下と異なる、乳児期特有の「乳児嚥下」1)
成人期の嚥下は、呼吸を一時停止し、嚥下後に呼吸が呼気から開始されることが多いことが知られています。呼吸をいったん止めて、喉頭を閉鎖し、飲食物を食道へ安全に移送できるよう、呼吸と嚥下を精密に制御するシステムが備わっていることが特徴です8)(図1)。
一方で、乳児期の嚥下においては、呼吸を止めることなく哺乳を続ける様子が日常的に観察されています。この背景としては、赤ちゃんは喉頭が高い位置にあり、口蓋垂と喉頭蓋の距離が近く、呼吸しながら嚥下することが可能になっていること1) 9)が指摘されています(図2)。しかし、赤ちゃんにおいても食道と気道が完全に分離しているわけではなく、多くの観察研究から嚥下が呼吸に大きな影響を及ぼすことが示されていました1)10)-12)。