赤ちゃんの哺乳運動で大切な3つの働き
赤ちゃんが母乳を飲むときは、大人が飲み物をストローで吸うときとはまったく異なる口の動きをしています。
一連の3つの運動「吸着・吸啜・嚥下」がうまく協調することによって、上手に母乳を飲むことができるようになります。
哺乳における3つの働き:「哺乳の3原則」
- 口唇を外側に開く
- 乳房の乳輪部分にぴったりと密着させる
- 舌を乳首に巻きつける
- 前から後ろへ波立たせるようにうねらせて、絞り出すように母乳を引き出す
- 舌の根元部分を上昇させ、母乳を食道へ移送させる
「哺乳の3原則」とピジョンの商品開発
哺乳運動は生まれながらに備わっている原始運動によるものですが、どの赤ちゃんでも生後すぐからスムーズに協調できるというわけではありません。
赤ちゃんをすこやかにはぐくむ母乳育児を応援するため、ピジョンでは「哺乳の3原則」を研究し、母乳育児を応援する商品の開発に活かしています。
口唇を外側に開いて、乳房の輪郭部分に吸盤のように密着させ乳首から乳輪までをしっかりとらえます。口唇の吸盤機能が弱いと口角から母乳がもれてくることがあります。
広口タイプ「母乳実感®」の採用
蠕動様(ぜんどうよう)運動とよばれる舌の波動状の運動で、絞りだすようにして乳首から母乳を引き出します。舌は自然でなめらかな波動状運動をしています。
エコーを用いて舌の動きを観察
舌が滑らかに動いている様子を解析
直接授乳
母乳実感®乳首
従来品の乳首
- 母乳実感®は舌運動がなめらかで、直接授乳に近い動きをしている1)
- 従来品では乳首先端部がしごき切れておらず、なめらかな舌の動きを妨げてしまっている1)
大人は嚥下時にいったん口を閉じて呼吸を止めてから嚥下をしますが、咽頭の位置が高い乳児は、口唇を開いたまま嚥下をし、軌道が押される程度の一過性の呼吸抑制が起きていて、大人の様な呼吸調節をしていません。そのため、一気に大量の母乳が流れ込んでくると気道に母乳が入り込み、むせ込んでしまうことがあります。
超音波断層撮影法(エコー)を使い口腔内で乳汁が 嚥下される状況を観察。2)
赤ちゃんの成長に応じて、流量を変えることができるように、さまざまなサイズの乳首を揃えています。
赤ちゃんの哺乳運動の再現映像
「哺乳の3原則」についてのピジョンの研究の成果をもとに制作した、赤ちゃんの授乳の様子を再現した3DCGの映像です。
≪文献≫
- 1) (石丸・斉藤 2002 哺乳時における舌と乳首の形態変化 チャイルドヘルス v5 n10 p53-58)
(斉藤・石丸 2010 哺乳初期における直接母乳哺乳と人工乳首の併用について:舌運動の比較検討 日本未熟児新生児学会雑誌 v22 n3 p295) - 2) (岡野・斉藤 2007 人工乳首を使用した哺乳運動中の呼吸動態の変化について第3報 日本未熟児新生児学会雑誌 v19 n3 p282)
(岡野・斉藤 2008 人工乳首を使用した哺乳運動中の呼吸動態の変化について第4報 日本周産期新生児医学会雑誌 v44 n2 p570)
(斉藤・岡野 2009 人工乳首を使用した哺乳運動中の呼吸動態の変化について第5報 日本周産期新生児医学会雑誌 v45 n2 p638)
(岡野・斉藤 2009 新生児における人工乳首を使用した哺乳運動中の呼吸動態の変化 日本赤ちゃん学会第9回学術集会プログラム・抄録集 p51)
(斉藤・石丸 2009 直接母乳哺乳時における哺乳運動中の呼吸動態の変化 日本未熟児新生児学会雑誌 v21 n3 p291)
(岡野・斉藤 2009 人工乳首を使用した哺乳運動中の呼吸動態の変化 日本未熟児新生児学会雑誌 v21 n3 p290)
哺乳についての研究レポート